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2007-07-14 気の不思議

_ 西野に面白い女の子が入ってきた。小柄で学生風。彼女は指導員の気を受けると猛烈な勢いで走り出し、壁に立てかけてあるマットに顔から当たって、今度は反対方向に走り出す。ここまでは西野の日常的な風景で誰も驚かない。みんながびっくりするのは、彼女が走りながらどすの利いた声で「てめぇー!この野郎!ぶっ殺すぞー!」と叫ぶからだ。普通のときはむしろおとなしい感じの子なのに勝手に声が出てしまうようだ。昨日の稽古の後半は手で口を押さえながら走っていた。

_ おかしかったのは、マットに当たって三回転した彼女が起き上がって「オレは。。」と言ったところで我に返り「わたし。。」と言いなおしたことだった。

_ この光景を見て、何かに似ていると思った。多重人格における別の人格の発現だ。実際見たわけではなく、本で読んだだけだが、かわいい女の子が突然男の声で話し出し、態度も一変する。多重人格が何なのかは私には分からないが、そのような現象が存在することは確かだ。

_ 仮に西野の彼女のケースが多重人格の発現だとしたら、なぜそのようなことが起きるのだろう。

_ それと関係があるか分からないが、気を受けた人の中には動物のような動作をする人がいる。馬のように四足で走ったり、蛙のように跳んだり、ゴリラのように吼えたりする。

_ 遺伝子の中に隠されている進化の過程が再現されているのだろうか。それとも、前世でそのような動物だったのだろうか。

_ 前に、妙齢の女性で、気を受けると指導員に詰め寄って「あなたは誰なの?あなたは本当は誰なの?」と詰問する人がいた。それも指導員のW先生の気を受けたときだけそのような反応が出る。過去生で二人は会ったことがあるのだろうか。今はW先生の姿をしているが、本当は違う人間だと言いたかったのだろうか。

_ 我々は固有の自我を持っていると信じているが本当だろうか。多重人格は珍しいものではなく、我々はただ気づいていないだけかもしれない。気の世界は不思議に満ちている。


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