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2008-04-28 硫化水素自殺と国営自殺施設

_ 硫化水素自殺が流行っている。死刑志願者の殺人事件も連続して起きている。

_ 自殺の付随的損害(collateral damage)について書いたものは知らないが、自殺の巻き添えによる死亡やケガだけでなく、電車への飛び込みによる混乱、自殺のあった家屋、ホテル等の価格の下落を勘案すれば多大な損害だと思われる。このような損害を減らすためには勿論自殺をなくすのが一番である。しかしそのための効果的な手段は無い。

_ なぜ自殺が付随的損害を発生させるかというと、損害のリスクの無い自殺を可能にするための工夫がなされていないからである。普通国民のニーズがある場合、国であれ民間であれ、それに対応する手立てを考える。しかし、自殺については議論だにされていない。

_ 報道によれば、硫化水素自殺が選ばれる理由としては、それが確実であり苦痛も少ないからだという。死刑についても国が執り行うので確実であろうし、多分苦痛も自殺に比べれば少ないのではないか。昔死刑の施設を見学したが、それは1階と2階からなっていて、2階の中央の床が開き首に縄をかけられた死刑囚は1階に落ちていく。加速度がついて落ちるので1階の床に着く前に首の骨が折れるようになっている。多分そこで意識がなくなるのだろう。これは一般の住居では不可能だ。

_ 自殺の根絶が不可能だとすれば、その被害を最小限にするのが国の責務である。そのために国営自殺施設を作るという考えは荒唐無稽ではない。第三者に被害が及ばない場所を提供することは容易だし、苦痛が少ない確実な方法も国であれば簡単に提供できる。

_ そもそも、生きていることが苦痛な人間に生きることを強いるのは拷問に等しい。人間はだれも自分の選択で生まれてきたわけではなく、死ぬ権利は基本的人権ではないか。要はそのような選択が安易に行われないように配慮すればよいのだ。

_ 国営自殺施設を利用するためにはカウンセリングを受け、一定期間を置いて決意が変わらないときのみ利用を許可する。多分投薬によって多くの人が自殺しなくて済むようになり、むしろ自殺者は減るかもしれない。18歳未満の者は原則利用禁止とする。犯罪に利用されることもあるから不審な場合は警察が調査する。

_ 実際にこのような施設が出来るかというと、まずありえないだろう。ナチスのガス室を連想させるので議論さえされないだろう。しかし、無為の結果犠牲になる第三者はこれから増え続けるだろう。


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