_ 私があの泥酔記者会見の映像を最初に見たのは、日曜日の17時半のニュースだった。そこでの解説は質問と大臣の回答に食い違うところがあったというあっさりしたものだった。しかし、見て分かるとおりそんな生易しいものでなく、小渕元首相が倒れる前の記者会見を思い出したので他チャンネルで続報を探した。
_ 結局当日は騒ぎにもならず、翌日の新聞にも、日経では3面に小さな囲み記事が載っただけだった。
_ 騒ぎになってからワイドショーなどでは、あの時会見を取材していた記者が大臣の態度がおかしいことを質さなかったのは職務怠慢だとの糾弾があった。しかし、そこにいた記者や随行の連中だけでなく、テレビも新聞もこれが大問題だとは当初は思っていなかったのは明らかだ。大問題になったのは外国での報道が国内で取り上げられてからだ。
_ 最近の報道では、中川大臣の酒にまつわる問題行動が多々あるとされ、曰くつきの人物であることが今になって明らかになった。当然マスコミはそれを知りながら、これまでと同様に看過したのだ。もしこの事件が国内で起きたとしたら大事件にはならず、中川の武勇伝に一つのエピソードを付け加えるだけで終わっていただろう。
_ 日本人は酒の上の行動に寛容だ。それは日本が民度の低い野蛮国だからという解釈はある。今回中川の辞任ということまで問題が大きくなったのは、日本人が外国から自分たちがそのように見られることを畏れたからだ。
_ でも、欧米の連中がそれほど大人で酒に対しても自制心が効くとは思えない。欧米の白人は酒に強いことが彼我の差となって表れる。これは遺伝子の違いだと医学的にも証明されている。
_ 欧米の酒飲みはジンやウォッカをラッパ飲みするように、日本人のレベルを遙かに超えている。それほど飲まなければ酔っ払わない反面、身体や精神に対する影響も日本人の比ではなくなる。アル中は社会問題になり、禁酒法まで施行されるようになる。
_ 日本人はそこまで行く前に酔いつぶれてしまうため、心身への損害は限定的になる。中川の場合も、有能な人物のようで、酒の上の不祥事によってその評価は減殺されていなかった。つまり、酒の上での言動は素面の人間評価に影響しないのだ。実際日本には酒にまつわる武勇伝を自慢する大物経済人や政治家は多い。それは、酒も飲めない四角四面の人間よりよほどプラスの評価になる。
_ このように、酒は日本の文化だ!と言って中川を擁護する人がいてもよかった。私は、個人的には、酔っ払いは嫌いだが(笑)