_ 反日映画として話題になったが、そうは感じなかった。
_ 日本国内の捕虜収容所が主な舞台だが、捕虜が体操をするところとか、捕虜が白雪姫の演劇を女装してやるところとか、人間的な場面もある。サウルの息子を観た後ではむしろ日本は甘かったのではないかとさえ思える。日本人にはナチスドイツのような冷酷さは無理だ。
_ 捕虜虐待の場面は多いが、大部分が主人公のルイに対する渡辺伍長の仕打ちだ。これは渡辺の役をミュージシャンのMIYAVIが演じたことから、戦場のメリークリスマスの坂本龍一とデビッド・ボウイの関係かと想像していたがそうではなかった。戦メリの場合は明らかにホモの感情が伝わってきたが、この作品では単なる虐待でしかなかった。
_ ルイの役者は実在の人物に似た俳優を選んだようだが、いかんせんボウイのような色気はなかった。戦メリはボウイあっての名作だということが分かる。