_ 日経で星4つの評価だったが、それほどの傑作ではない。しかし、時間がたつといろいろと考えさせる映画だと思った。
_ 「花束のような恋」とは、期間限定で燃え上がる恋のことか。花束は造花と違って枯れる。しかし、美しかった時の記憶は残る。
_ 50年近く前そんなことがあった。私は、所属事務所から留学を許可され、ミシガン大学ロースクールに行った。その前に、米国の主要ロースクールが外国人留学生のために設けたオリエンテーションがワシントンDCであった。そこで彼女に会った。2歳年上の小柄でかわいい人だった。
_ 彼女は、ニューヨーク大学に行くことになっていたが、ニューヨークには行ったことがなかった。私は、子供のころにニューヨークに住んでいたので、彼女をニューヨークの観光に連れていくことになった。
_ 2人でアムトラックの列車に乗り、ホテルは二部屋とり、一泊した。私が寝坊したら彼女が扉をたたいて起こしに来た。
_ どこを見て回ったかよく覚えていないが、エンパイアステートビルのてっぺんに上ったのは覚えている。彼女は眼鏡を変えたとのことで、世界はこんなに美しいんだ!と感激していた。
_ オリエンテーションは2週間ぐらいだったと思うが、彼女を最後に見たのがどこであったか覚えていない。それぞれの大学に別れてからも手紙を交換した。お互いに恋愛感情を持っていたと思う。彼女は、ロースクールが終わってもNYの法律事務所で研修し、やがて手紙は来なくなった。
_ 手紙は書かなくなったが、年賀状は交換していた。お互いに東京で働いて、同じ渉外弁護士だったのに、会えなかった。彼女は、一度会おうと年賀状で書いてきたが、なぜかそれ以上の行動はなかった。
_ 最後の年賀状には、「お元気ですか。私はすこし年をとり、でも変わらずに働いています」とか書いてあった。その年の暮れに彼女の姉から喪中のはがきが来た。10月に亡くなったと。