_ 奈良女児殺害事件の小林被告に死刑判決が言い渡された。しかし、それを一番喜んでいるのは小林被告のようだ。宅間守の場合もそうだったが、本人が死刑を望んでいる場合には死刑は罰にはならない。むしろ、死刑になりたくて凶悪犯罪を起こそうとするやからを増やすのではないかと懸念する。
_ 奈良女児殺害事件の被害者の父親が極刑以上の刑を望むと言っていた。それはすなわち残酷刑である。残酷刑は憲法で禁止されている。しかし、宅間や小林のような犯罪者に対抗するためには残酷刑の復活も考えるべきだろう。
_ 思うに何が残酷かは一概に言えない。人によっては無期懲役の方が死刑より残酷と感じるかもしれない。また、人生が苦痛で生きていることが耐え難い人にとっては死刑は僥倖だろう。
_ そもそも、死は誰にもやってくるもので、それを早期に到来させたからと言って残酷だろうか。絞首刑は苦痛の少ない死刑だと言われている。宅間守は死刑にならなかったらもっと苦痛に満ちた死を迎えていたかもしれない。実際の話、今日多くの人間が経験する病院での延命治療と緩慢な死はどんな残酷刑より残酷ではないか。世界の歴史に記されている残酷刑のどれも何ヶ月もかけて殺すことはない。たいていの刑罰は何時間か我慢していれば死が解放してくれる。
_ 世の中は矛盾に満ちている。