_ 北川悦束子監督、北乃きい、岡田将生主演。
_ キネ旬の4月下旬号で、映画評論家の江戸木氏が、「即興演技で映画を作ることの致命的な勘違い」、「映画における自然体とはきっちりと作りこむことで創造できるものだ」と言っている。
_ この映画のタイトルは、北乃きいが halfway を読み間違えた(演技ではなく)のをそのまま使っている。
_ 私は、この映画が好きだが、多分フィクションというよりドキュメンタリーとして好きなのだろう。作られたセリフは何回も繰り返せるが、アドリブは一回きりだ。
_ 北乃きいが halfway をハルフウェイと読み違えることは今後ないだろうから、あの場面は彼女の人生における唯一の瞬間を捉えたことになる。
_ 即興演技による映画が傑作になることは稀であり、そのためにはストーリーの登場人物と役者が近似していて、役にはまり込んで現実の自分と区別がつかなくなるほどの状況が必要だろう。
_ 映画における自然体がきっちりと作りこまれたものである必要があるかは、監督によって見解が異なると思う。黒澤明はそれを必要とし、大島渚は必要としないだろう。演技の新鮮さを重視する監督は作りこまれた完成度より勢いを取るようだ。
_ 「ハルフウェイ」は演出を放棄しているようで、実際は手のひらの上で二人の若い役者を動かしているという、奇跡的な作品だ。